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「SURGE WEB」のBlogです。 http://www.surge.ne.jp


by gios585
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【文学】「書くことについて」語るときに彼の語ること。vol.3

こんばんは、SURGE ABEです。

vol.1は、こちらです。
vol.2は、こちらです。

<参考および引用>
レイモンド・カーヴァー作 村上春樹訳
「ファイアズ<炎>」より“書くことについて”

ファイアズ(炎) (村上春樹翻訳ライブラリー)

レイモンド カーヴァー / 中央公論新社

スコア:




「正確」で「誠実」な文章を追求したカーヴァー。平凡な台詞で素晴らしい小説を書くことに心血を注いだので、やはりそういう類いの小説がお気に入りのようです。

(引用開始)
-----------------
一見してとくに見栄えのしない台詞をある場所にぽつんと置くことによって、読者の背筋を凍りつかせることだってできる―ウラジミール・ナボコフなら、それこそが芸術的喜びの源泉であると言いそうだ。私はそういう小説がいちばん好きだ。
-----------------
(引用終了)
(「ファイアズ(炎)」P.42)

俳句や短歌もこういう作り方ですよね。
頭の中でこういう風に浮かんでくる、そのヒントのひとつを見つけられた気がします。

(引用開始)
-----------------
イサーク・バーベリの書いた『ギ・ド・モーパッサン』という素晴らしい短編の中で、小説を書くことについて語り手がこんな風に言う。「正確な場所に置かれたピリオドは、どんな鋭利な鉄よりも人の心を激しく切り裂く」と。これもカードに書いて壁に貼っておかなければならない。
-----------------
(引用終了)
(「ファイアズ(炎)」P.42~43)

新たにカードに書くべき言葉が出てきました。

彼が語る文章を書く上で大切の要素は、
1.毎日こつこつ書く
2.正確な文章を書く
3.可能性、期待、救済を感じさせる要素を入れる
4.誠実な文章を書く

ですが、これは2番目に該当する言葉ですね。

(引用開始)
-----------------
エヴァン・コネルがこんなことを言った。ひとつの短編小説を書いてそれをじっくりと読み直し、コンマをいくつか取り去り、それからもう一度読みなおして、前と同じ場所にまたコンマを置くとき、その短編小説が完成したことを自分は知るのだと。こういう姿勢で何かに臨むのはいいことだ。たとえ何をするにせよ、これくらい綿密でありたいものだと思う。
-----------------
(引用終了)
(「ファイアズ(炎)」P.43)

丁寧に推敲して手を入れ終わった短編小説を読んでみたら、最初に書き上げた短編小説と同じだったということなんですけど、コネルはすごいですね(^^)

私の場合、推敲をし始めると言葉の荒波の飲まれて、最初に書いたものから相当変わってしまうことが多々あります(^^;;
大抵そういう場合は、書きたい内容とその表現とを一致させることができていない時なので、
ボツにして新たに書き直した方がよいことが多いです。

カーヴァーの「書くことについて」語ることは「大人であること」なのですが、若さという勢いの時代を経て石橋を叩いて渡る時代へと移り行くことは、一般的には喪失感を感じさせがちですが、実際には失うことよりも得ることの方が多いように思います。

カーヴァーは大器晩成型だったので、そのことに気が付き、力強くそう感じていたのでしょうね。



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by gios585 | 2009-03-29 23:59 | 文学