こんにちは、SURGE ABEです。
光文社古典新訳文庫で、小川高義訳『グレート・ギャッツビー』が出版されました。
フィッツジェラルドの短編集『若者はみな悲しい』での小川訳は、原文に忠実且つシンプルでとてもよい翻訳だったので、『ギャッツビー』(他の訳が『ギャツビー』と表記しているところで、小川訳だけ『ギャッツビー』と表記されています)にも早速手を伸ばしてみました。
『グレート・ギャツビー』といえば、語り手であるニック・キャラウェイが若い頃に父から助言を与えられたことを述べた冒頭の文章と結末の文章が有名ですね。この小説自体、随所に格言(アフォリズム)が散りばめられることによって文章に重厚さがもたらされ、フィッツジェラルドが得意とする華麗で優美で快活な情景描写とあいまって、重さと軽さの絶妙なバランスを保っているように思います。
今回は、冒頭部分の訳をそれぞれ引用してみたいと思います。
原文の冒頭は以下の通りです。
このサイトで原文が読むことができます。
<単語など>
vulnerable 形 傷つきやすい
turn over 分他 めくる ひっくり返す 譲る 思いめぐらす 熟考する ひっくり返る
criticize 動 批評する 批判する 非難する
1.野崎孝訳『グレート・ギャツビー』(1957年)
2.村上春樹訳『グレート・ギャツビー』(2006年)
3.小川高義訳『グレート・ギャッツビー』(2009年)
冒頭部分で使われている文体・語法・話法が元となり結末まで維持されるので、ある意味において、訳者のプリンシプルが最も現れている箇所だと言っても過言ではないでしょう。
『グレート・ギャツビー』がまだ未読という状況なら、上記の訳の中で自分にしっくり合うものを選ぶというのもよいかもしれませんね。
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よろしくお願いいたします。
光文社古典新訳文庫で、小川高義訳『グレート・ギャッツビー』が出版されました。
フィッツジェラルドの短編集『若者はみな悲しい』での小川訳は、原文に忠実且つシンプルでとてもよい翻訳だったので、『ギャッツビー』(他の訳が『ギャツビー』と表記しているところで、小川訳だけ『ギャッツビー』と表記されています)にも早速手を伸ばしてみました。
『グレート・ギャツビー』といえば、語り手であるニック・キャラウェイが若い頃に父から助言を与えられたことを述べた冒頭の文章と結末の文章が有名ですね。この小説自体、随所に格言(アフォリズム)が散りばめられることによって文章に重厚さがもたらされ、フィッツジェラルドが得意とする華麗で優美で快活な情景描写とあいまって、重さと軽さの絶妙なバランスを保っているように思います。
今回は、冒頭部分の訳をそれぞれ引用してみたいと思います。
原文の冒頭は以下の通りです。
このサイトで原文が読むことができます。
In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since. ’Whenever you feel like criticizing anyone,’ he told me,'just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had.’
<単語など>
vulnerable 形 傷つきやすい
turn over 分他 めくる ひっくり返す 譲る 思いめぐらす 熟考する ひっくり返る
criticize 動 批評する 批判する 非難する
1.野崎孝訳『グレート・ギャツビー』(1957年)
ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。
「人を批判したいような気持ちが起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなお前と同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思い出してみるのだ」
2.村上春樹訳『グレート・ギャツビー』(2006年)
僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」
3.小川高義訳『グレート・ギャッツビー』(2009年)
まだ大人になりきれなかった私が父に言われて、ずっと心の中で思い返していることがある。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれているわけじゃなかろう」
冒頭部分で使われている文体・語法・話法が元となり結末まで維持されるので、ある意味において、訳者のプリンシプルが最も現れている箇所だと言っても過言ではないでしょう。
『グレート・ギャツビー』がまだ未読という状況なら、上記の訳の中で自分にしっくり合うものを選ぶというのもよいかもしれませんね。
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by gios585
| 2009-10-13 14:09
| 文学