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「SURGE WEB」のBlogです。 http://www.surge.ne.jp


by gios585
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こんにちは、SURGE ABEです。

光文社古典新訳文庫で、小川高義訳『グレート・ギャッツビー』が出版されました。

グレート・ギャッツビー (光文社古典新訳文庫)

F.スコット フィッツジェラルド / 光文社

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フィッツジェラルドの短編集『若者はみな悲しい』での小川訳は、原文に忠実且つシンプルでとてもよい翻訳だったので、『ギャッツビー』(他の訳が『ギャツビー』と表記しているところで、小川訳だけ『ギャッツビー』と表記されています)にも早速手を伸ばしてみました。

若者はみな悲しい (光文社古典新訳文庫)

F.スコット フィッツジェラルド / 光文社

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『グレート・ギャツビー』といえば、語り手であるニック・キャラウェイが若い頃に父から助言を与えられたことを述べた冒頭の文章と結末の文章が有名ですね。この小説自体、随所に格言(アフォリズム)が散りばめられることによって文章に重厚さがもたらされ、フィッツジェラルドが得意とする華麗で優美で快活な情景描写とあいまって、重さと軽さの絶妙なバランスを保っているように思います。

今回は、冒頭部分の訳をそれぞれ引用してみたいと思います。

原文の冒頭は以下の通りです。

The Great Gatsby (Penguin Popular Classics)

F Scott Fitzgerald / Penguin Classics

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このサイトで原文が読むことができます。

 In my younger and more vulnerable years my father gave me some advice that I've been turning over in my mind ever since. ’Whenever you feel like criticizing anyone,’ he told me,'just remember that all the people in this world haven't had the advantages that you've had.’

<単語など>
vulnerable 形  傷つきやすい
turn over 分他 めくる ひっくり返す 譲る 思いめぐらす 熟考する ひっくり返る
criticize 動  批評する 批判する 非難する


1.野崎孝訳『グレート・ギャツビー』(1957年)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

フィツジェラルド / 新潮社

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ぼくがまだ年若く、いまよりもっと傷つきやすい心を持っていた時分に、父がある忠告を与えてくれたけど、爾来ぼくは、その忠告を、心の中でくりかえし反芻してきた。
「人を批判したいような気持ちが起きた場合にはだな」と、父は言うのである「この世の中の人がみんなお前と同じように恵まれているわけではないということを、ちょっと思い出してみるのだ」

2.村上春樹訳『グレート・ギャツビー』(2006年)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

スコット フィッツジェラルド / 中央公論新社

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僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。
「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」

3.小川高義訳『グレート・ギャッツビー』(2009年)

グレート・ギャッツビー (光文社古典新訳文庫)

F.スコット フィッツジェラルド / 光文社

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まだ大人になりきれなかった私が父に言われて、ずっと心の中で思い返していることがある。
「人のことをあれこれ言いたくなったら、ちょっと考えてみるがいい。この世の中、みんながみんな恵まれているわけじゃなかろう」


冒頭部分で使われている文体・語法・話法が元となり結末まで維持されるので、ある意味において、訳者のプリンシプルが最も現れている箇所だと言っても過言ではないでしょう。

『グレート・ギャツビー』がまだ未読という状況なら、上記の訳の中で自分にしっくり合うものを選ぶというのもよいかもしれませんね。


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# by gios585 | 2009-10-13 14:09 | 文学
こんにちは、SURGE ABEです。

今橋愛さんと雪舟えまさんの同人誌『Snell』は6号を迎え、最終号となるそうです。

『群像』10月号P.266~7に掲載されている雪舟さんの随筆「ほんとうの電気」に、『Snell』製作の苦労&裏話が掲載されていますので、そちらもどうぞご覧ください。

今橋さんの日記(10月5日)より
「Snell」6号(最終号)

今橋愛  小説「休みの日」(55枚)

雪舟えま 小説「バスキア」(80枚)

今橋愛 エッセイ「まみちゃんのこと」(3)

雪舟えま エッセイ「今橋愛さんとわたし 虚無と光 松川洋子氏とわたし そして虚無と光」

松川洋子(ゲスト) /雪舟えま作品評 「無定形の星のひとりフェス」

斉藤斎藤(ゲスト) /今橋愛作品評 「たくさんのおとこのひとがいるなかで」

花山周子(ゲスト) /今橋愛作品評 「スネル四号作品評」

「歌人の悩みに答えるならば」第2回 質問する人:今橋愛 答える人:高島裕さん

柴田絵梨子(ゲスト)/「短歌の翻訳」 雪舟作品の英訳をしていただきました。


表紙・カット/小林雪の



また、「Snell」朗読会が10月18日に阿佐ヶ谷にて開催されるそうです。

音の波動は三十一文字や詩に新しい命を吹き込むので、
興味のある方は是非脚をお運びください。

今橋さんのサイトより
「Snell」朗読会のおしらせ

雪舟 えま
今橋 愛 の 朗読会をいたします。

スネル読者の皆さまと 
お会いできることを楽しみにしています。
もちろん読者以外の方も歓迎です。秋の一日、
阿佐ヶ谷へお越しいただけたら うれしいです

日時:2009年 10月18日(日) 16時開演予定
会場:阿佐ヶ谷 よるのひるね
料金 :1500円(1DRINK付)

※ちいさな会場ですので、
ご希望の方はご予約をおすすめいたします。
予約席をご用意できるとおもいます。

雪舟えまのホームページhttp://homepage2.nifty.com/mami/
から ご予約・問い合わせも お受けしています。
もしくは、「よるのひるね」さんに直接お電話・メールでご予約いただいても結構です。
よるのひるね 電話03-6765-6997 
メールyoruhiru★jcom.home.ne.jp(★→@)







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# by gios585 | 2009-10-07 14:37 | 文学
こんばんは、SURGE ABEです。

ここ数ヶ月、フランス革命に関連する書物を読み続けています。

『フランス革命の代償』や『私の個人主義』を読み解くためなのですが、様々な本を読むうちにどうやら欧米ではフランス革命について賛否両論があり、その賛否によって思想上の立場が決まるということがおぼろげに見えてきました。

まだまだ読み進めなければならない書物がたくさんありますが、全体像がはっきり見えるようになったら、フランス革命について記事にしていけたらと思います。


<参考>
池田信夫Blogに「フランス革命は正しかったのか」という記事が掲載されていました。


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# by gios585 | 2009-10-06 21:22 | 世界史
おはようございます、SURGE ABEです。

月曜日にテレビが壊れてしまいました。
ツール・ド・フランスの山場に差し掛かったところで見られなくなってしまいましたが、仕方ないですね。

漱石晩年の学習院での講演「私の個人主義」は、「こゝろ」と同様に高校の教科書にも登場するので大変知られた文章です。

「私の個人主義」を、もし、正しく理解しようとするのであれば、どうしても「ある人物」の「ある書物」について知らなければならないと思うのですが、「それら」について全く触れられていないような気がしています。

実は、「それら」について触れることは先日紹介した「フランス革命の代償」にも関わってくるので、この辺も絡めて今後こつこつと書いていきたいと思います。

「私の個人主義」は
夏目金之助 「漱石全集 第十六巻」
より引用していきます。

漱石全集〈第16巻〉評論ほか

夏目 金之助 / 岩波書店

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# by gios585 | 2009-07-22 10:17 | 文学
こんばんは、SURGE ABEです。

今日はフランス革命記念日ですね。

最近、フランス革命を各種統計データによって分析した本を読み始めました。

フランス革命の代償

ルネ セディヨ / 草思社

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フランス革命が持つもう一つの側面が丁寧に紡ぎだされていて、驚きと共に読み進めています。

特に、ヴァンデ戦争は完全なる負の歴史で、フランス国内では語ることがタブーとされているそうです。

二元論的に考えれば、光があれば当然それと同等の影があるわけですが、フランス革命もその例から漏れていないようです。

最後まで読み終わったら、きちんとした書評を書きたいと思います。

<参考>
ヴァンデ戦争・語られざる惨劇

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# by gios585 | 2009-07-14 21:40 | 世界史